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北海道新聞社健康保険組合
 

季節だより

 

vol.2 ジェネリック医薬品のススメと急性蓄膿症体験記
2010年10月27日(水)

多病息災

 肝機能を改善するための点滴が1時間で終わったので、看護師さんに声をかけた。このあと主治医の診察となる。これが2カ月ごとに繰り返される私の定例行事となっている。

 私は生活習慣病のうち、高血圧、高脂血症、高尿酸値、高中性脂肪のメタボ4高と持病の肝機能障害、逆流性食道炎を自宅近くのクリニックで治療している。もう6年近く通っているのに、悪くもならず、かといって良くもならない。「多病息災」の日々を過ごしている。

 最初は、主治医の処方した薬を毎日6種類服用していた。3年ほど前に「ジェネリック医薬品」という言葉をテレビCMで知る。日本語では「後発医薬品」と言い、さらに意味が分からない。
(英語のジェネリックって何?)と思い、辞書を引くと、
「ブランドに囚われない」と出ていた。比較的ブランドに囚われる私としては大いに悩んだ。

ジェネリック選択を決意

 1年近く悩んだ末、とうとう2年ほど前に、
「先生。薬をジェネラルに替えてほしいんですけど?」恐るおそる尋ねてみた。
「ジェネリックですね。わかりました。いいですよ」私の言い間違いをさりげなく訂正して、あっさりと承諾してくれた。
 危うく薬を「将軍(ジェネラル)」に替えるところだった。
「えっ!でも、今の薬が1番効いているようなんですけど」自分で「替えて」と言っておきながら、簡単に承諾してくれたので、急に不安になってしまった。
「大丈夫ですよ。効果や効能は新薬と変わりませんし、開発費をかけていないので、その分安いんですよ。薬局に薬があるかどうか、問い合わせしますから、ちょっと待ってくださいね」

 私の高血圧の薬は、特許(20年)がまだ切れておらず、ジェネリックでは作れないという。肝機能障害についてはジェネリックにすることもできたが、今の薬があっているため継続することにした。
 その他の、高脂血症(プラバメイト錠10)、高尿酸値(アロチーム錠100)、高中性脂肪(ソルミラン顆粒状カプセル6)、逆流性食道炎(オブランゼ錠10)はすべてカッコ内のジェネリック医薬品に替えてもらった。そうすることで、薬代もそれまでより3割も安くなって今に至っている。
 健保連の最新情報によると、一番安いメーカーのものは新薬に比べ8割も安くなるそうだ。

 しかし、その日の治療目的は違った。それはちょうど今から5カ月前のことだった…。

鼻炎か?花粉症か?

 異変は5日前の朝から始まっていた。
「今年は花粉が多いね」
「M子もこの間、耳鼻科に行ったけど、お医者さんに(のどの奥に花粉が一杯ついている。こんなのは初めて見た)と言われたわ」
 父と同じアレルギー性鼻炎を患っていて、声まで変わっていた次女の様子を妻が聞かせてくれた。
「俺も、鼻水とくしゃみが止まらないんだよ。とうとう花粉症になったかな。今日は、とりあえず鼻炎の薬を持って会社に行くよ」

釣りの誘い

 会社に着くと携帯にメールが入っていた。
(土曜日に寿都でタラを狙うけど、行かない?)広告会社のM取締役から釣りの誘いだった。
(すみません、その日は釣り同好会の例会で岩内の外防波堤に行くんです)と断りの返信をしたが、例会も参加をためらうほどの不調だった。
 しかし、私の車には同乗者がおり、今になって参加を断ると迷惑をかけることになる。

深夜の釣行

 その後も体調不良は続いたが、土曜日の午前1時に自宅を出発した。
 同乗者のYさんを拾い、札幌西ICから高速を使って小樽を目指す。待ち合わせ場所の蘭島のセブンイレブンでほかの同好会メンバー7人と合流し岩内の漁港に向かった。
 第18 E丸は出港準備をすでに整えており、午前3時半に港を出た。1人2千円の料金で外防波堤の突端に10分ほどで連れて行ってくれた。
 8時間の釣行だった。投げ竿2本とブラー仕掛け1本を使い、手のひらサイズのマガレイを20匹、20センチのクロゾイを2匹釣ったが、成績は9人中8位。
 優勝したのはYさんで、40センチ超のアブラコと30センチクラスのホッケを数本揚げていた。初めての優勝だという。無理して連れて行った甲斐はあった。

妻の診断

 自宅に戻ったのは夕方の4時。夕食後に倒れ込むようにベッドに入り、そのまま朝まで眠りこけた。
翌日の目覚めは頭が重く痛い。鼻をかぐと黄色の鼻汁が大量に出た。熱も38度ある。
「副鼻腔炎(ふくびくうえん)じゃない?私は片方だけだったけど、その時と同じ症状よ」妻が診断してくれた。
「どうみてもアレルギー性鼻炎や鼻かぜじゃないな。今日は日曜日だから、明日にでも病院に行ってくるよ」

女医の診断

「Wさ~ん」
 午前9時に受付し、点滴を1時間した後、正午になってやっと呼ばれた。
「ハイどうぞ、いつもの薬ですね。あら、違うようね?今日はどうしたの?」小柄で美人の主治医が私の異変に気付いて聞いてきた。
「最初は鼻水も透明で、アレルギー性鼻炎だと思っていました。先週の金曜日ころ、鼻水が黄色に変わり、日曜日は熱が38度ありました。今は、匂いも味も全然分かりません」
「あらまあ、それは大変。私の基準ですけど、匂いも味も分からない場合はレントゲンを撮るようにしています。おそらく蓄膿症だと思うんだけど」

蓄膿症だった

 レントゲンの結果、病名は「急性蓄膿症(正式名:急性副鼻腔炎)」。
朝食後に(シングレア10mg・気管支喘息の発作を抑制)、昼食後に(クラビット500mg・細菌を抑え感染を治療)、夕食後は(クラリチン10mg・アレルギー性鼻炎に伴う痒みを改善)、毎食後に(ムコダイン500mg・痰を出しやすくする)と(ダーゼン10mg・組織の腫れを抑える)。その他に点鼻薬(アラミズト6g・アレルギー性鼻炎に効く)の6種類を1週間分処方された。
 希望していなかったので、ジェネリック医薬品ではなかった。しかしこれは症状が重かったので、そこまで私の気が回らなかったというのが本音だ。

 家に帰ると「どうだった?」と妻が聞いてきた。
「お前の診断通り蓄膿症だった。鼻水や熱はこれからさらにひどくなるらしい。でも、熱は2、3日で収まるそうだよ」
 その日の夜は、熱が40度まで上がった。
 結局、水曜日まで3日間会社を休んだ。木曜日には、なんとか出社したが、完治までは2週間かかるそうだ。

ジェネリックは初診時に 短期間なら新薬でも…

 1週間後の月曜日に再びクリニックに行った。
「どうですか?」
「熱は2日で収まりました。鼻汁も透明に近くなりましたが、痰はまだ黄色です。でも、味が分かるようになったのがなによりです」
 世の中で「何が辛い」といって、食べたものの味が分からないほど辛いものはないということを初めて知った。
「急性だったので、治りも早かったですね。喉がまだ赤いので、痰はまだ少し続きます。レントゲンで治ったのを確認するのですが、いいですよね?」
「レントゲンはできれば撮られたくないので、それでお願いします」
「それでは、1日3回のムコダインと夕食後のクラリチンを5日分出します。それで終わりにします」
「ジェネリックはないんですか?」
「ありますよ。どうします?」
「いや、いいです。ありがとうございました」
 残りは短期間なのでスケールメリットを考え新薬で通したが、この質問は初診時にすべきだった。

昔の子はえらい

 半世紀ほど前の小学生は皆、青っ洟をたらしながら遊んでいた。中には、鼻の下に乾いた鼻汁の通路ができていて、器用に鼻をすする子もいた。
 ポケットティッシュなどない時代だから、袖で鼻をぬぐいテカテカに光らせた子もいた。
 今から考えると、みんな「慢性蓄膿症」だったに違いない。細菌に感染しても、元気に遊び、元気に草野球をしていたのだ。

 中高年期に入り蓄膿症で40度の熱を出し、3日も会社を休み。完治まで2週間を要した。その間、6種類の薬漬けのわが身を、あの頃の洟垂れ小僧達は「弱虫!」と笑うだろう。

隗(かい)よりはじめよ

 この人生初の蓄膿症は、今年の春に体験したことだが、本来、人間に備わっている「自然治癒力」のなんと衰えたことか。年のせいだけではあるまい。現に義父は今年満80歳でかくしゃくとしている。
 脂肪分の多い食生活と運動不足。なによりも適量を超えたアルコールに原因があるのは十分に承知している。

 今後、どんな人生初を発病するか分からない。そのときに重症化しないよう私の標準体重である75キロを目指す決意をした。あと7キロの減量が必要だ。

 それと、初診時にジェネリック医薬品を希望することも含めて「隗よりはじめよ」だ。そうすることで自分はもちろんだが、健保組合の財政も助けることになるからだ。(清)
Copyright  Hokkaido Shimbun Health Insurance Society.