トップページへ
組合概要
こんなときは?
健康保険のしくみ
健保組合とは
加入者の範囲
手続き
保険料の仕組み
保険給付の内容
保険事業の内容
 
Pep Up
人間ドック
乳がん・子宮がん検診補助
PETがん検診
契約レク施設
メンタルへルス電話相談
セクハラ電話相談
歩数計・うがい薬の配布
インフルエンザ予防接種補助
データヘルス計画
特定健康診査・特定保健指導
予算・決算
個人情報の取り扱い
お問合せ先 てl011-210-5542 FAX011-210-5561
北海道新聞社健康保険組合
 

季節だより

vol.12 
◇健保歳時記 <北の大地から>新聞社健保連絡協議会 
  2012年6月7日(木)、8日(金)

出会う確率高し 中日・Sさん

「どこかで見た人だと思ったら、やっぱりWさんじゃないですか。」
 札幌駅のホームで声をかけられたので振り向くと中日のSさんが立っていた。
 「Sさんもこの列車でしたか。お久しぶりです。」
 全国11の新聞社健保で構成している「連絡協議会」の今年の幹事社は道新で、春の例会を旭岳温泉で行なうことに決めていた。しかし、北海道の屋根と言われている内陸部にあるため交通の便が悪く、全国から集まる参加者のために、集合場所は旭川駅か旭川空港を指定していた。Sさんは前日に札幌入りし、旭川駅に向かう途中だった。

去年は河北新報が幹事で、私は仙台入りしてすぐ、河北のKさんから情報を仕入れていた「利休」で牛タンを食べた。店を出るとすでに行列ができていて、その中にSさんがいた。Sさんとは味覚や行動パターンが似ているため出会う確率がおのずと高くなる。その年の秋も東京で行なわれた全国大会で声をかけられた。こう書くと会うのを嫌がっているように誤解されかねないので、決して嫌でないことは付け加えておく。

旭川駅には定刻より7分遅れの午前11時30分に到着した。
 「昼飯にしましょう。旭川ですからラーメンでしょう。どこか目当ての店はありますか?」
 「ないよ。駅前ならどこかにあると思って調べてこなかったよ。」やはりSさんもラーメンだった。
 「それじゃ、私のおすすめを紹介します。」と言って買い物公園の5条通りにある蜂屋に連れて行った。

旭川駅には、他に河北新報のOさんとKさん。神戸のHさんとKさんも来る。山日のNさんと共同通信のSさんは空港組だが、到着便が早く着くため駅での合流となった。


全国11新聞社健保 半年ぶりの再会

「Aさんですか。今駅を出ました。30分ほどで、そちらに着きます。」  旭川空港で待機している職員のAさんに携帯を入れた。 「少し、到着が遅れていますが、大丈夫です。」全国の健保関係者とは初対面のため、少し緊張気味だったが元気な声が返ってきた。

旭川空港では、静岡のSさん、信濃毎日のKさん、京都のFさんとKさん、中国のAさん、西日本のUさんが待っていた。これで全国11健保が半年ぶりの再会を果たした。バスは途中、大雪山の源泉に立ち寄り、冷たい水でのどを潤してから旭岳温泉のホテルベアモンテに向かった。

唯一黒字に余裕のSさん 静岡

H理事長の挨拶で始まった連絡協議会=ベアモンテ

 連絡協議会はホテル2階のパーティー・ルームで予定通り午後3時から始まった。
 H理事長の挨拶のあと、各健保に1人5分程度の近況報告をしてもらった。特筆すべきは、静岡が唯一の黒字決算だったことだ。黒字確実と見られていた西日本でさえ経常赤字だったのだから快挙といえる。
 静岡のSさんは、終始余裕の笑みを浮べていた。

 

選択の正しさに浸る 西日本・Uさん

窓の外は大粒の雨が降っていた

 午後4時に休憩を入れた。旭岳に面している窓から外を見ると、ついさっきまで晴れていたのに、大粒の冷たい雨が降っている。山の天気は予報通りにはいかないようだ。
  コーヒーを運んでくれた女性従業員に「明日の天気はどうでしょうか?」と聞いてみた。
「はっきりと言えませんが、ほら旭岳が見えないでしょう。おそらく雨じゃないですか。」
 地元の人らしく的確な予報だ。
 明日は午前6時に「朝の散策」が予定されているが中止が濃厚のようだ。
  「よかよか、わしは参加せんけんね。ちょうどよか。」西日本のUさんは、自分の選択の正しさに浸っていた。

 後半の会議も、レセプト分析や退職積立金の予算計上などの有意義な情報交換が行われたが、午後5時になったので、幹事社を代表しA常務理事の総括で終了した。


翌日の朝の散策時に試運転していた旭岳ロープウェー

 「懇親会は、この会場で行ないます。用意に時間がかかりますので、6時半からの開始となります。それまでは自由時間です。お風呂に浸かるなり、ごゆっくりとお過ごしください。」
 「ロープウェーに乗りたいなあ。せっかく来たんだから。」共同通信のSさんからリクエストされたが、あいにくロープウェーは5時で終わっていた。 「もし、乗れたとしても、この雨じゃ雲しか見えませんよ。」と言ってはみたが、旭岳の麓まで来て、山頂に行けなかったのは私としても残念だった。

秋には男山の吟醸 懇親会

ロの字のお膳形式で始まった懇親会

 ロの字のお膳形式で懇親会が始まった。
 地元の新鮮野菜が盛りだくさんの料理だったが、アスパラが特産の地元にしてはやけに細いものばかりだった。
「Wさん。明日採るアスパラは、こんなんじゃないですよね。」と中日。
「当たり前ですよ。今が旬ですからね、太いのが待っていますよ。」と言ったが、明日も雨なら中止の憂き目をみる。そうなったらごめんねSさん。

懇親会の料理
「Wさん。旭川ですからね。男山の大吟醸を用意しているんでしょ。」と共同通信。
「当たり前ですよ。二次会に日本酒は男山、ワインは富良野、焼酎は旭川。それぞれ地酒を用意しました。」と言ったが、実は、札幌の三越で事前に仕入れた男山は2千円の純米酒だった。大吟醸もあったが、あまりの高額にしり込みしてしまった。秋にはせめて吟醸にしようと心に誓う。ごめんねSさん。

中締めをする山日のNさん

 午後8時を過ぎたので「中締めを、来年の幹事社である山日ワイビーエスのNさんにお願いします。」と健康に配慮したテンポですすめた。
 Nさんは、関東一本締めで懇親会を締めくくった。

初めての手拍子 ぶっつけ本番 二次会

最後を手拍子で締める西日本のUさん(右)左は河北新報のKさん

 隣の部屋の掘りこたつで二次会は始まった。ここからが長くなるのが新聞社の性(さが)だが、なんと午後10時に終わった。理由は、朝から1時間かけて旭岳周辺のトレッキングを用意していたからだ。

「明日は、午前6時に朝の散策がありますので、この辺でお開きにしたいと思います。おそらく、春の例会はこれが最後になるかもしれない西日本のUさんに締めてもらいます。」

二次会が終わり部屋に引き上げる面々

 今年、定年を迎えるUさんは、三々七拍子のような、またはバレーボールの応援で聞くような二、三、四、二の小気味良い手拍子を1回披露し、ぶっつけ本番で17人全員がきれいに揃って二次会も健康的に終わった。

 

 

 

<6月8日(金)>
太陽を連れて現れたガイドのIさん

 雨音が屋根や窓を激しく打つ音で目が覚めた。まだ午前2時だった。ホテルとの打ち合わせでは、午前5時頃に中止の判断をするが、どちらにしてもガイドは旭川市内からこちらに向かう手はずになっていた。
 5時になっても雨は降っていた。ロビーに下りたが、ホテルの担当者はどこにもいない。きっと中止が濃厚なので時間ぎりぎりに来るのだろう。
ところが、10分前にガイドが到着した途端、雨はやみ朝日が差し始めた。
「どうでしょう?できますか?」おそるおそる聞いてみた。
「大丈夫です。でも草が濡れていますから、長靴を履いてください。」
 日本山岳ガイド協会認定のIさんは、山口県出身で、80歳にはとても見えない精悍な体躯に柔和な笑みを浮べ、太陽を連れて現れた。

群生したエゾノリュウキンカの中にエゾシカ

ホテルから出発し、ガイドのIさん(左端)の説明を聞く一行

 午前6時に15人がホテル前に集まった。週間予報は「晴」にもかかわらず、中国のAさんは、広島から雨合羽を持参していた。山の天気を熟知した上での判断だろう。誰もが認めるミスター健保はさすがだ。
 ホテルが用意した長靴を履いた一行は、ロープウェーの隣にある公営駐車場の木道からコマクサコースと言われる約1時間のトレッキングに出発した。
 エゾノリュウキンカがあたり一面に群生している広場の真ん中で、エゾシカのメスがこちらを伺っていた。
「僕は午年です…」と言おうとして言葉を飲む。そばにいた静岡のSさんから「馬鹿じゃないですか。」のツッコミを甘んじて受ける覚悟がなかったからだ。

エゾノリュウキンカの中でこちらを伺うエゾシカのメス

 皆が近づくと森の中に逃げ込んだが、神戸のKさんは、スマホでベストショットをものにしていた。

  しばらく歩くと、千島桜の木が4、5本植えられていた場所についた。そのうちの1本が5分咲きだった。北海道に60年近く住んでいるが、千島桜の開花を見たのは初めてだったので、内地の人達より感動した。

カエルの鳴き声の正体は? 「青い池」

 午前8時半にバスは出発した。1時間ほどかけて、白金温泉の入り口にある「青い池」に向かった。火山災害から美瑛町を守るため、十勝岳の泥流を貯める施設として、忠別川にコンクリートブロックでえん堤を作った。そのえん堤に自然と水が溜まり、白金温泉地区で湧出しているアルミニウムが混ざって、光の加減で青く見えるようになったそうだ。今では、「青い池」として名所になっている。我々が訪れた時もカラマツが立ち枯れて幻想的な景色が広がっていた。

青い池の前で記念撮影
 「カエルが鳴いているね。」
 セミの鳴き声が、本州の人達には、カエルの声に聞こえるらしい。
「エゾハルゼミですよ。」と教えると、 「えっ、こんなに早くからセミが鳴くの。」と驚いていた。
  そういえば私も過去の協議会で、京都ではツクツクホウシ、熊本ではクマゼミ、仙台ではミンミンゼミを聞いたが、いずれも8月を過ぎていた。

出来も味も1級品 アスパラ収穫体験

ビニール製の簡易長靴を履く参加者

 一行は、2日目のメインイベント「アスパラ収穫体験」に向けて、JA美瑛の契約農家であるMさんの畑に向かった。青い池からは15分ほどのところにある。
 到着すると、JAの職員さんが鍋を沸かしてアスパラをゆでていた。畑に入って自分の手でアスパラを収穫するため、靴が汚れないように、ビニールで作った簡易長靴と軍手、カマを渡してくれた。
「この簡易長靴はいいね。九州に持っていけば売れるとよ。」
「静岡の茶畑にもいいね。」
「仙台の復興にも役立つわ。」
「じゃあ、アスパラじゃなく、この長靴で商売すれば成功間違いなしだね。」
 各県の感想にJA美瑛の職員さんたちは、苦笑するしかなかった。

真っ直ぐに植えられたアスパラを収穫する面々=契約農家Mさんの畑

 アスパラは苗を植えて3年我慢すれば、同じ苗から毎日3回収穫でき、それが15年も続くという。
「今日、朝一で収穫しましたが、もう太く大きくなったのがたくさんあります。袋を配りますから、詰め込めるだけ詰めて収穫し、北海道の良き思い出としてください。」4代目農家の若きMさんが誇らしげに言う。私たちは出来も味も1級品のアスパラをはちきれんばかりに袋に詰め込み、茹で上げのアスパラをその場で堪能した。

昼食はミシュラン1つ星 美瑛選果「アスペルジュ」

新鮮野菜の盛り合わせ
 昼食は、美瑛選果に併設している「アスペルジュ」というレストランを2ヶ月前に予約していた。その後、北海道版ミシュランで1つ星レストランになり、今では予約を取るのが大変な店になっていた。

 「この形はなんでしょうか?」2皿目のデザートで大皿のふちに載っている白い物体をさして、静岡のSさんが聞いた。
「うさぎでしょう。」他のみんなもうなずく。
「えっ!どう見てもクジラにしか見えませんよ。」

豚のグリルステーキ
「この葉っぱで耳を表していますよね。」私は具体的に説明した。
「それは、クジラの潮吹きでしょう。」Sさんは譲らない。
 給仕の女性スタッフに聞くまでもないのだが、軍配はうさぎに上がった。

「このイチゴにからんでいるのは何でしょうかね?」今度は、私が聞いた。
「ジュレね。」河北のKさんは食べ慣れた様子で教えてくれたが、
「ジュレって、なんだ?」という私の顔を察して

大皿デザート

「ゼリーのフランス読みよ。」とバカにした笑みではなくや さしく微笑んだ。
負けず嫌いな私は「それじゃあ、タコのことをフランス語でなんと言うか知っています?」
「……」
鼻に抜ける発音で、
「アシ・ハッ・ポ~ン。イカはアシ・ジュ・ポ~ン。女性の下着はハダ・ジュ・パ~ンと言うんですよ。」
 今度は、本当にバカにした笑みを浮べた。

地元のビールで乾杯=アスペルジュ
 京都のFさんが「ハダ・ジュッバン!ですか。」と言ったのを信濃毎日のKさんが、すかさず「それじゃあドイツ語でしょう。」と言って、みんなを笑わせた。

最後の場所は予定外 美瑛の丘

  企画した内容は、これですべて終了した。予定より早めに進んでいる。帰りの飛行機の時間やJRの時間を考慮しても、まだ1時間ほど余裕がある。
「Wさん。どうですか。せっかくだから美瑛の丘に寄っていきませんか。」A常務理事がささやいた。
 早速、バスの運転手さんに、
「すみません、時間があるので、予定外ですが美瑛の丘を見たいので、どこかに寄ってくれませんか。」とお願いすると、
「わかりました。それでは北西の丘に寄ります。」と快く引き受けてくれた。

美瑛の「北西の丘」から見た風景=右の大きな木(ポプラ)が「ケンとメリーの木」

 北西の丘はその名の通り美瑛市街地の北西にあり、ピラミッド型の展望台がある人気の観光スポットだ。近くにはケンとメリーの木(ポプラ)もある。

 中国のAさんの携帯にメールが入った。
「共同通信のSさんからです。Wさんのメルアドが分からないので、私に打ってきました。」
 そこには、「飛行機の時間に余裕があったので、タクシーの途中で、美瑛の丘に寄りました。ありがとうございます。」と書かれていた。
 Sさんは、東京で開かれる理事会に出席するため、昼食前に美瑛を発っていた。
 今、私たちが見ている景色を1時間前にSさんも見ていたのだ。

   その前に、一人寂しく帰って行った中日のSさんは、今日が誕生日だったのを、私はすっかり忘れていた。
おわり
Copyright  Hokkaido Shimbun Health Insurance Society.