vol.8
「健保財政 検討会事務局」
道内健保組合、協会けんぽ・北海道支部 状況分析報告
今回は、道内の健保組合の動静や協会けんぽ・北海道支部の変遷などを報告します。
健保組合は、09年8月時点で14組合ありましたが、最古参だった「今井健保組合」が事業所の閉鎖に伴い解散したため、道新が最も古い組合になりました。しかし、10月には、人間ドック事業で関わりのある円山クリニックを抱える「渓仁会健保組合」が結成されたので、14組合の数に変動はありませんでした。
10年10月にも約1万5千人の被保険者を抱える「北海道医療健保組合」が誕生したので、3月の社報には道内健保15組合と報告しましたが、4月に「北海道林業健保組合」が66年間の歴史に幕を閉じて解散しました。
したがって、道内の健保組合は再び14となっています。この2年間で4つの組合の出入りがあったのです。
被保険者は93,547人で前年度より13,636人増えています。被扶養者は80,713人で、こちらも3,068人増えました。(11年4月現在)
道内健保組合が今年度の予算を作成するため、4組合が保険料率(表1)を引き上げています。その結果、最高は9.627%、最低は道新ともう1社の6.5%です。格差は3.127ポイントもあり、平均は8.275%(全国平均は7.926%)でした。
<表1 道内健保の保険料率(%)>
道新 |
最高 |
平均 |
最低 |
6.5 |
9.627 |
8.275 |
6.5 |
財政状況はどこも苦しく、別途積立金を保有しているすべての組合が、そこから繰り入れて、予算を作成しました。道新を含めて6組合ありました。
別途積立金を持たない組合は、料率を上げたり〔全国では527(36.42%)の組合が料率を上げた〕、健保連からの財政支援交付金を受けて予算を作成しました。また、健康保険法で定められている準備金(注1)から繰り入れた組合もありました。そのため、保有率が100%未満の組合も5つあります。道新の準備金保有率は103.10%ですが、医療費が増大しているので、さらに積み増ししなければ100%を切る見通しです。
一方で、中小企業で働く従業員や家族が加入している健康保険を全国健康保険協会といい、愛称を「協会けんぽ」といいます。08年10月に当時の社会保険庁(現日本年金機構)が実施していた政府管掌健保を非公務員型の公法人というかたちで移管・継承されたものです。適用事業所は北海道支部で75,949あり、被保険者は958,743人、被扶養者は757,548人です。(11年4月現在)
当初は全国一律8.2%だった保険料率(表2)も、09年9月から都道府県単位となり、北海道は8.26%でした。しかし、10年3月には1.16ポイントの大幅増で9.42%になりました。さらに今年の3月にも0.18ポイント引き上げられ、9.6%に改定されています
そのため、最高が北海道と佐賀県で、最低が健康診断などの受診率が高い長野県の9.39%です。平均は9.5%でした。
<表2 協会けんぽの保険料率(%) 11年度3月現在>
北海道 |
最高 |
平均 |
最低 |
9.6 |
9.6 |
9.5 |
9.39 |
北海道の料率が高くなる要因の一つとして、通院の難しい地域があり、そのため入院することで費用が膨らむ、という状況があるそうです。しかし、厚労省が地域の格差を広げないための激変緩和措置(18年までの期限付き措置)を施しているので、都道府県の格差は最大でも0.21ポイントで抑えられています。
もし、地域差をそのまま料率に反映させると、北海道は10%になるそうです。
また、協会けんぽが将来の保険料率を、被保険者数の推移や賃金の伸び率などを想定して収支見通しをまとめた結果によると、12年度には平均ベースで9.9%まで引き上げが必要になることがわかりました。
経済情勢の低迷による保険料収入の大幅減と高齢化による医療費の増大が財政を圧迫している構図は健保組合と同じです。
(注1)
準備金は保険給付(医療費など)に要する費用に不足を生じたときに使用することを目的として、直近3年の保険給付額で年平均額の12分の3に達するまで積み立てを行うように健康保険法で定められている。100%以上保有した組合は、余剰金が発生した場合に、独自の判断で「別途積立金」として蓄えてもよいことになっている。
以上